Q&A
発達障害とは子どもが年齢を重ねるに連れて獲得できることが上手く出来ないことです。決して上手くできるようになっていたことが出来なくなってきたことではありません。
発達障害の中には、ADHD、LD、自閉症をはじめとする広汎性発達障害などが含まれます。
とにかくじっとしていない、落ち着きがなくい、気が散りやすい、衝動的、身勝手で自己主張が強い、とってもおしゃべり、順番をまてない、邪魔をする・・・・これらの症状はすべて一つの問題点から生じている可能性があります。それはADHDと呼ばれている問題点です。
ADHD症状の難しいところは何やらただの性格のように思えることです。でもADHDの人たちはこのような症状を自分では解っていてもなかなか治せないことや、親もまたADHDの子どもたちを修正するのが難しいのです。
ADHDの症状は集中障害と多動-衝動性です。これらの集中障害と多動-衝動性は共存することもありますが、別々に存在することもあります。すなわち、落ち着きがなく、衝動的で、しかもいろいろなミスをするタイプや教室や職場で目立たないけど勉強や仕事に集中することができず、ボーっとしていたり、他のことをしていたりする人もいます。
例えば、小学1年生になったばかりの子どもたちは、みんな落ち着かず、そわそわしています。でも通常は2学期になれば落ち着いてきますが、ADHDの子どもたちはなかなかそうはいきません。症状は学校だけで見られたり、家庭だけで見られたりするわけではありません。どこでも同じような症状がみられます。
ADHDは小児期に発症します。集中障害や多動-衝動性は幼稚園ごろには明らかになっています。大人になってから診断された人もいるでしょうが、ADHDの症状は7歳未満に発症しています。
ADHDは、注意集中の困難さや、多動・衝動的な行動が、日常生活に著しい困難を引き起こすほどのものであり、そのことはADHDを診断するにあたっても大変重要な要素です。
あなたのお子さんが、少し集中力に欠けたり、よく動き回るような場合でも、日常生活に支障をきたすほどでなければ病気ではなく、集中障害や多動-衝動性は性格と考えて良いでしょう。
広汎性発達障害、精神発達遅滞、統合失調症などの他の疾患をもつ場合は、そちらが優先されADHDとは診断されません。
広汎性発達障害とは一般的に自閉症のことです。限りなくADHDと似ている自閉症があります。
これはとても大切な質問です。
衝動性とは考える前に行動することです。攻撃性と同義語では決してありません。
すなわち衝動性とは
–過剰なおしゃべり
–出し抜けに答える
–話題を急に変える
–順番をまてない
–邪魔をする
なのです。
自閉症は自閉という特定の心理状態を指すのではありません。ましてや幼少時の親子関係のあり方のような心理的発達の障害から起こったものでもありません。母親や父親の育て方が悪くて発症することもありません。
現在は、自閉症は脳の器質性障害に基づいて生じることが明らかになっています。
原因は多因子的で、症例によって成因が異なります。多くの原因があると思われますが遺伝子上の突然変異、ウイルス、有毒化学物質(水銀)等も原因と考えられます。
自閉症の中核をなすものはMind blindnessといい、他人の心が読めないことです。
私たちは他人の顔や眼をみて相手の気持ちを判断することができますが、自閉症の子供たちは相手の表情が読めません。このために社会性や対人関係がうまくいかなくなるのです。
自閉症は、基本的に症状から判断する症候群です。自閉症の診断基準は、以下の2つに示されています。
1)米国精神医学会の診断と統計のための手引き(DSM-IV)
2)世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第10版(ICD-10)
これらの診断基準はほぼ同じです。
以下に診断基準をまとめます。
診断基準のまとめ
1)社会的人間関係の重篤な障害
2)言語発達の遅れと偏り
(コミュニケーションの障害)
3)こだわり
事態や物事の変化への強い抵抗
活動や興味の範囲が極端に狭い
日常の手順への固執、奇妙な物への愛着
遊びなどでの常同的なパターン(常同性)
物とのかかわり異常
高機能自閉症とは知的水準に遅れがない自閉症のことをいいます。標準化された知能検査でIQが70以上の場合をいいます。高機能といっても知能に関する定義にすぎず、自閉症の症状が軽く社会適応状態が良いというわけではありません。反対語として低機能自閉症がありますが、当然のことですが自閉症障害の全体を指して高・低としているのではありません。同じように高・低の中間に中等機能の自閉症があります。
高機能自閉症とアスペルガー症候群とは厳密に区別しないでもよいとの考えが支持されてきています。